I know your habits

君の癖は知っているよ


がジーンと一緒に行くと言った時、なにかを隠しているのは知っていた。時々、は予知夢を見ては黙ってなにも言わないことがある。その夢の内容が、いいことなのか、悪いことなのかはわからない。調査に関係することならば、基本は見た内容を話すし、まったく関係ないことならば、その後に笑い話としてジーンたちに話す。

【___なんも?】

けれど、なにかを隠す時は必ず、間を置いて笑うのだ。聞いても、その隠した内容を話すことはない。だから今回の日本行き、なにかしらあるのだと想像はついていた。が。

「ナル!」
「なんだまどか。忙しいんだが」
「そんなこと言ってる場合じゃないのよ!」
研究所に押しかけてきたまどかを横目で見はするが、手は止めない。大騒ぎして入ってくるのは、よくあることだ。この場所のチーフであり、強くでられないのは面倒だ。
君が、」
の名前が出たとき、思わず手を止めた。改めてまどかの姿を見ると、なにも気にせず走ってきたのだろう、髪は乱れているし、息も切れている。
君が日本で事故に。意識不明の重体 だって」




「ジーン」
「ナル・・・・・・僕のせいだ。が、僕をかばって」
急遽、日本へと向かった。向かった先の病院では、白い包帯に巻かれて眠っていると、そのすぐ側で座っていたジーンがいた。多くの点滴をされながらも、は静かに眠っていた。
「一面はとりとめたって。でも、頭を強く打ってるから、いつ目覚めるのかわからないって。このまま、かも、しれないって・・・・・・」
そういってジーンはの手を強く握った。血液が足りないのか、元々色素の薄い手が、なおさら白く見える。ジーンの健康的な手が側にあるから、なおさら。
「・・・・・・とりあえず、着替えてこい。明日にはルエラたちも来る。」
「うん・・・・・・」
着替えの入った紙袋を持って、ジーンは部屋を出た。それを見送ってから、の側へと近づく。
13歳。そういえば今度あるクラブ活動で日本の伝統ある文化を体験できると話していた。たとえ夢予知をもっていたとしても、ジーンよりも一般人だった。多少の人間不信はあれど、少しずつ人とも慣れていたし、その結果よく友人らと遊んでいるのも見かける。16歳の僕たちから見れば、ただの子供。それがこうして、まるで死んだように眠っていた。
研究者からして見れば、能力が一番変動しやすい思春期にこうした状態になるのは喜ばしくない。頭を打った、とのことだからそれによって霊媒や能力が変動している可能性も高い。いつ目が覚めるかによっては研究材料がまったくもって手に入らないという可能性もある。「
家族としては、正直よくわからない。どうでもいいわけではないが、どう思っているのかと聞かれても、この感情が一致する言葉を知らない。
「早く起きろ」



____起きれたら、苦労しないんだけどなぁ。
ナルのつぶやきにそう返しても、ナルには聞こえない。霊媒のジーンにも聞こえなかったから、ナルなんてもってのほか。
ナルは、身内になった者にはとことん甘い。僕やジーン、両親は無論、同じ研究所で一緒のまどかやリンにも。
だからきっと、来てくれるとは思っていた。英国から日本まではある程度距離はあるから、こんなにすぐだとは思ってなかったけど。
ねえナル、ここにカメラおいてよ。ナルの好きな心霊現象、今なら起こせるきがするから。でも、起こすまえに早く起きろって、怒られちゃうかなぁ。

2017/09/03


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