閃の軌跡編

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空の軌跡編が終わっていないので設定変更・ネタばれの可能性大


ジェニス王立学園を卒業したのち、私はそのまま、帝国のトールズ士官学院へと入学した。卒業後すぐにユミルへと戻り、数週間の休養を得てそのまま列車へと乗った。しかし同じくトールズに入学することとなるリィンと一緒にではなく、1本程度遅れてとなった。それは単純に、ジェニスでの単位がトールズでも認められるとのことでその申請書類の準備のためだ。帝都ヘイムダルにあるリベール大使館へと寄って書類を受け取ってからトールズのあるトリスタへと向かう。時間でいうとざっと20分程度か。それほど近い、近郊に位置するのがトリスタだ。
トリスタ駅を出ると、周囲にはまばらに同じ制服を着た生徒がいた。白と緑の2種類あるそれは、クラス分けを示している。指定されているクラスによって制服の色が決められているのは、帝国特有だろう。
白色は貴族、緑色は平民だ。
さらに貴族はⅠ組とⅡ組に分けられそこも同様に身分によって分かれられる。男爵家である私はⅡ組だ。そのほか、平民はⅢからⅤ組に分けられる。すべて、貴族制度によるものだろう。また、ここは王族御用達の名門でもあるため、そこにも関連があるのだろう。
このトールズ士官学院と、聖アストライア女学院。どちらも貴族が多い名門であり、現在聖アストライア女学院の方には皇女殿下が在籍していらっしゃる。いずれは皇子殿下もこのトールズに入学することとなるだろう。
兎に角、そんなトールズに入学することになったのだが、この2年間、いったいどうなるのだろうか。


「__最後に君たちに一つの言葉を贈らせてもらおう。
本学院が設立されたのはおよそ220年前のことである。創立者はかの、《ドライケルス大帝》__《獅子戦役》を終結させた、エレボニア帝国、中興の祖である。___即位から30年あまり。晩年の大帝は、帝都から程近いこの地に兵学や砲術を教える士官学校を開いた。近年、軍の機甲化と共に本学院の役割も大きく変わっており、軍以外の道に進む者も多くなったが……それでも、大帝が遺した“ある言葉”は今でも理念として息づいておる。

“若者よ 世の礎たれ”

“世”という言葉をどう捉えるのか。何をもって“礎”たる資格を持つのか。これからの2年間で自分なりに考え、切磋琢磨する手がかりにしてほしい。__ワシの方からは以上である。」

七耀歴1204年3月31日。入学式を終えて、全員がそれぞれ各クラスへと散らばった。講堂を出る前に、後方で赤い制服の生徒が集まっているのを横目で見る。入学時にクラスが案内されていなかったものたちだろう。そこにリィンの姿もある。家に届けられた制服を見比べて2人で首を傾げたのは新しい記憶だ。まぁ、リィンなら大丈夫だろう。あとで情報共有をしておけばいい。そう判断して、そのまま講堂を出た。



・シュバルツァー。ユミルの領主、シュバルツァー男爵家長子になります。よろしくお願いします」
Ⅱ組は子爵、男爵家の子女が集まるクラスだ。それ以上の位になるとⅠ組になる。なのでⅠ組に比べれば庶民的と言えるだろう。それでも貴族なので多少身分というものが左右されてしまうのは仕方のないことか。
全員の挨拶が終わり、カリキュラムの説明等に移る。卒業後の進路が様々な分野に分けられ、軍人になるものは昔よりは減ったものの、それでも士官学院であることには変わりなく、内容はそちらに寄ったものとなっていた。しかしぽかんと夏季には空白が見受けられ、それが貴族特有の夏季休暇、もとい家業手伝いの期間になるのだろう。それが貴族組にのみ与えられているものであろうというのは、なんとなく想像がついたが、長子であればほとんどが家業を継ぐので、必要な期間だろう。
入学日は授業もなく、これにて解散となった。学院内を見て回るのもよし、寮へと行くのもよし、気の早いものは部活でも見に行っているか。だが、貴族はどちらかというと縦と横の関係構築に勤しむ時間といってもいいか。
「君」
廊下を歩き、まずは職員室へと向かおうとした矢先に声をかけられる。足を止めて振り返ると、同じ白い制服に身を包んだ少年と、周囲に何名かいるグループに話しかけられた。
「何でしょうか」
たぶん、同じ1年だとは思う。初対面なのでだれかは存じていないが、たぶん身分は上だろう。
「シュバルツァー男爵家の者だったね」
「……はい。・シュバルツァーと申します。大変失礼ですが、あなた方は?」
「パトリック・ハイアームズだ。」
「四大名門の……。失礼しました。私に、何か用でしょうか?」
ハイアームズと名乗った彼は、そのまま偉そうに他の者と一緒に近づいてくる。そこに敵意はないが、見下されているとは感じる。四大名門なので、身分に言えば確かにそうなのだが。
「いやなに、男爵家とはいえ、ドライケルス大帝に連なる名門の血筋。君にはぜひ、サロンに来てほしいと思っていてね」
「お心遣いありがとうございます。ただ、これから職員室に行く所用がありまして。後日お伺いさせていただいてもよろしいでしょうか」
「あ、ああ!もちろんさ。待っているよ」
軽く礼をして、彼らの元から去る。
四大名門。この帝国にいる絶大な力を持つ貴族。そのうちの一つが、先ほどのハイアームズ侯爵家。同い年の子息がいるのは知っていたが、確か長子はもっと年上だったはずだ。ただ、話してみた感じだと、よくいる貴族様、といったところか。別に自分がそうじゃないとは言わないけれど。まだ社交界デビューをしていないので、思えばあまり他の貴族とは会ったことがなかった。今後のことを考えると少し気が重くなってきた。
職員室にジェニスでの習得単位表を渡し、いくつか除籍される授業項目を受け取った。だからといって国が違えば見る視点も違うと思うので授業参加はするつもりだ。
その後ある程度教室を確認し、2年間暮らすことになる寮へと向かった。

2021/1/21
原作ではシュバルツァー家のこと知らなさそうでしたけどここでは知っている設定

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