黒子のバスケ

8


昼休み。騒がしい教室から去るように図書室に向かったらなぜか火神とバスケ部数名がいました。なぜ?

「あら、君」
「なにしてんの」
「火神君の成績アップ?」
「……そう」

逃げよう。そう心に決めて自習場所から逃げだそうとすると、ちょうど入ってきた小金井と出くわし、さらに相田が思い立ったように聞いてきた。

「今回のテストの補修と試合の日がかぶってるの。君、順位は?」

あーそういえばそんなこともあった気がする。はてさて、たぶんだけど遅刻常習犯だから成績悪いと思われているはず。でもさ、記憶が薄れているとはいえ、俺 もと大学生だし。中間試験の時、まだほとんど覚えてたし。大学の勉強に比べれば高校の勉強楽だし(レポートがないのが最大)

「3」
「え?」
「たぶん3位。少なくとも5位以内なのは確か」
「うっそ」

ほうら勉強できないと思われてる。ちょっと英語が苦手だけどほかほぼ満点だから。数学にいたっては100だから。俺完全理数系。

「じゃ」

帰ろう。早退はできないけど図書室からは離れよう。うーん、どこか落ち着ける場所はないのだろうか。





____________
???視点


混ざる。ぐるりぐるりとかき回されるように思考が、意識が、自分の意志とは反してぐるぐると。自分という存在が混ざって、消えて、変わって、



今いる"俺"は、どこの俺?







多少日数がすぎました。俺の生活は変わらず、授業ぎりぎりか少し遅れて学校に着き、帰宅後はランニングをかねてあのストバスへ。そこであのちみっこたちにバスケを教えて帰宅。その繰り返し。なので原作であった(はず)の青峰とかとかプールでの練習とか参加してない。忘れてたしやる気もなかったので逃亡しました。練習が3倍かなにかになって死にかけてたらしいというのは、よく出会う降旗の証言だ。
そして今、俺はなぜか誠凛と桐皇の試合を見に来ている。選手としてではなく、見学者として。
怒られるのは目に見えていたので、事前に相田には伝えてある。
"キセキがいる学校との試合には基本でないので呼ぶな"
あのときのこともあって無理強いはしなくなった。なのになぜいるのか。単純にあの人への挨拶だ。
インターバルあと5分だけど、まぁいいか。休憩室をノックすると中から声が出てくるが、無言で壁に背を向ける。扉が開いて、そこから出てきたのはあの人じゃなかった。

「あ?」
「……」

無言で見ていると俺に気がついたのか、その人の後ろからあの人が出てくる。

「おー、来てくれたん?」
「顔出さないと何言われるか分からないので」
「そんなこといわんでーな」

扉から出てきたのは桐皇学園バスケ部キャプテン、今吉翔一。俺の中学の先輩だった。

「誰っすか?」
「ワシの中学の後輩や。桐皇に誘ったんに来てくれなかったんやで。」
「なんで桐皇に行かないといけなかったんですか。嫌です」
「残念やわぁ。今ののプレイスタイルはこっちと十分あってると思うんやけど。誠凛と違って」

くだらない。過去の俺がどうして誠凛に来たのか?当時、誠凛は新設校でありバスケ部はなかった。だから、誠凛に行ったんだ。バスケをやめるために。結局はできずにこうしているんだけどね。

「……取り敢えず挨拶だけはしました。帰ります」
「ちょいまち。前半出てなかったけど後半も出ないつもりか?」
「出ませんけど?」
「なんや、せっかく今年は試合できるとおもったんに。それに……」
「……」
「青峰に対抗できんの、火神やなくて、自分しか誠凛におらんやん」
「冗談を。」

壁から背を離し、出口のある方へと身体を向ける。

「キセキに勝てるわけないじゃないですか」

今吉先輩に背を向けて歩き出す。今吉先輩は、俺に声をかけてくることはななかった。


そして、誠凛が桐皇に負け、なおかつIH予選負けするという結果が耳に入ったのは、あいつが退院する、という時になってからだった。

2013/07/19

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