振り回されてばかりの君へ七題

2.え、それをいま言うの!?


カードキャピタル。それは櫂と三和がよく行くカードショップ。2人はそこによく行くらしい。らしいというのは私がその場所に行ったことがないからだ。機会があったら行くかもしれないが、生憎私の家の近くには別のカードショップがあるためそちらに赴くことはない。

「くりーむのブースト、21000のくっきーでアタック」
「バリィで完全ガード」
「ドライブチェック、1st、トリガーなし、2nd、クリティカルトリガー、リアガードのふろまーじゅにパワー5000、クリティカル+1。おむれっとのブースト、22000のふろまーじゅでアタック」
「ドラゴキット、ゴジョ―でガード」

だから櫂や三和とファイトするときはもっぱら公園とかだ。学校でやることもできるが、さすがに気が引ける。

「ファイナルターンだ」
「うわ」

彼がファイナルターンというと、たいてい負ける。櫂にダメージ5まで行ったらほめてほしいくらいに、彼は強い。頻回なファイトをしている三和だってそういう。私だってそういう。自画自賛になるが、私が行っているカードショップでは私が一番強い。ショップ大会では負けなし。……なのだが、なぜか櫂には勝てない。

「お、また櫂の勝ちか。ほんと鬼つよだな」
「ほんとないわ。カードキャピタルってところでも負けなしなわけ?」
「そうそう。でも結構たのしーぜ?も来ればいいじゃん」
「えー。でも今いる場所でじゅーぶん楽しいし。よく挑まれるから相手にはこまんないし」
「女王でもやってるのか」
「やってない!私が単純に勝ち越してるだけ。カードキャピタルの櫂と同じ感じなの」

お互いカードをかたし、立ち上がって多少ついた衣類の埃を取る。ベンチとかは便利だが砂とかがあるからしっかりおとしておく必要がある。こういうの嫌いな人はまず座らない。あ、カードはきちんとスリーブにいれてマットを使用することが重要になるよ

「へー、そしたらよりも強い櫂が2つのショップを制覇したってことになるかな」
「外でやってるからノーカウント。」

「なによ」
「お前より強いファイターはそのショップにはいないのか」

櫂の一言に私は動かしていた手を止めた。

「あっのね、話聞いてた!?いまそれ言う!?」
「櫂、ヴァンガードのことになると性格変わるからなぁ」
「そういう問題?私が一番ショップで強い扱いだって言ってる話聞いてたでしょーが」
「なんだ、つまらん」
「こんのやろう」
「女の子がそんな言葉使っちゃだめだぞー」
「うるさい。」

開きっぱなしだったマットの上に、1つのデッキケースを置く。それに手を添えたまま、櫂の方を向く。

「もう1戦、よろしくて?」





「女は強し、ってな。こういう時はも引きが強いよな」
「……ああ」
「櫂、うれしそうだな」


2015/12/31


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