「カードショップに?」
「そ。櫂のやつ、置いていきやがって」
三和の手にはHRの際に渡された書類があった。私にもすでに配られているそれは、三和の机にも置かれている。おそらくだが、櫂がそのまま置いて行ったのだろう。
「櫂、ショップ行くって言ってたからな。たぶんいるだろ」
「三和を置いていくなんて珍しー」
「今日掃除当番でさ。で、頼みがあるんだけど」
「……持っていけって?」
「カードキャピタルの場所はわかるだろ?」
「いや、行ったことないし」
「んじゃ、地図送るわ」
「……まったく、いいよ。貸し1つね」
「さんきゅーな」
三和から櫂のプリントを受け取ると、三和は携帯を操作し始める。少しすると私宛にメールが届き、そこにはカードキャピタルまでの地図が載っていた。
「頼んだぜ」
三和はそういうとクラスメイトに呼ばれて姿を消した。ここ最近、私ばかり貧乏くじを引いている気がする。私はただのぱしりじゃないというのに。
ぶつくさ文句を言いながら、足はカードキャピタルへと向かう。行ったこともない場所だが、三和の地図によって難なくたどり着くことができた。自動ドアを潜り抜けると、そこには知らぬ学生、おそらく中学生だろうか、と一緒にヴァンガードをしている櫂の姿があった。
「いらっしゃい。初めての方ですね」
急に声をかけられ、そちらを見る。エプロンを着た男性で、おそらくここの店員かなにかだろう。カウンターのところには猫が一匹。
「なにかお探しですか?」
「あー……櫂を探しに」
「櫂君をですか。ちょうどいまファイトを……終わったようですね」
再度、櫂の方を見ると、ファイトを終わらせこちらに近づいてきた。
「か。珍しいな」
「そりゃここ来るのは初めてだしね。私はあんたに用があったの」
「?」
「プリント。おいて行ったでしょ」
「……すまない」
カバンから1枚のプリントを取り出し、それを櫂へと渡す。
「んじゃ、確かに渡したからね」
「」
「なによ」
「ファイトするか」
「……。いいわよ」
「お礼参りにしてやろう」
「なんでプリント持ってきたのにお礼参りされないといけないのよ」
※お礼参りとは、ヤクザや不良が拘束を解かれてからする仕返しのことである。
・・・
「ゲット、クリティカルトリガー、ヴァンガードにクリティカル、リアガードにパワー5000、セカンドチェック、ゲットクリティカルトリガー、」
「オーバーキルはやめてくれませんかね!?」
私のダメージゾーンはすでに5枚。ダブルクリティカルで3つ、ヒールトリガーが3枚連続で来る確率はほぼない。しかも2枚はダメージゾーンにあるからどうあがいても勝てないのだった。
「ほんと、お礼参りって私がするのがふつうでしょーが……」
「もう1戦やるか?」
「やらない。」
カードを手早く片づけていると、店員が近づいてきた。
「いやぁ。いいファイトでしたね。お二人は仲がいいんですね。ご友人ですか?」
そういう店員に対して、櫂は特に返事もない。私はそっと溜息をついて答える。
「友人じゃないですよ。クラスメイトです。……それに」
「それに?」
「こいつは親友の皮をかぶった悪魔ですよ。トリガー率おかしすぎだし」
「手加減なんてしないぞ」
「したら物理で殴るからね」
「仲良しですねぇ」
「にゃあん」
2016/01/05
「そ。櫂のやつ、置いていきやがって」
三和の手にはHRの際に渡された書類があった。私にもすでに配られているそれは、三和の机にも置かれている。おそらくだが、櫂がそのまま置いて行ったのだろう。
「櫂、ショップ行くって言ってたからな。たぶんいるだろ」
「三和を置いていくなんて珍しー」
「今日掃除当番でさ。で、頼みがあるんだけど」
「……持っていけって?」
「カードキャピタルの場所はわかるだろ?」
「いや、行ったことないし」
「んじゃ、地図送るわ」
「……まったく、いいよ。貸し1つね」
「さんきゅーな」
三和から櫂のプリントを受け取ると、三和は携帯を操作し始める。少しすると私宛にメールが届き、そこにはカードキャピタルまでの地図が載っていた。
「頼んだぜ」
三和はそういうとクラスメイトに呼ばれて姿を消した。ここ最近、私ばかり貧乏くじを引いている気がする。私はただのぱしりじゃないというのに。
ぶつくさ文句を言いながら、足はカードキャピタルへと向かう。行ったこともない場所だが、三和の地図によって難なくたどり着くことができた。自動ドアを潜り抜けると、そこには知らぬ学生、おそらく中学生だろうか、と一緒にヴァンガードをしている櫂の姿があった。
「いらっしゃい。初めての方ですね」
急に声をかけられ、そちらを見る。エプロンを着た男性で、おそらくここの店員かなにかだろう。カウンターのところには猫が一匹。
「なにかお探しですか?」
「あー……櫂を探しに」
「櫂君をですか。ちょうどいまファイトを……終わったようですね」
再度、櫂の方を見ると、ファイトを終わらせこちらに近づいてきた。
「か。珍しいな」
「そりゃここ来るのは初めてだしね。私はあんたに用があったの」
「?」
「プリント。おいて行ったでしょ」
「……すまない」
カバンから1枚のプリントを取り出し、それを櫂へと渡す。
「んじゃ、確かに渡したからね」
「」
「なによ」
「ファイトするか」
「……。いいわよ」
「お礼参りにしてやろう」
「なんでプリント持ってきたのにお礼参りされないといけないのよ」
※お礼参りとは、ヤクザや不良が拘束を解かれてからする仕返しのことである。
・・・
「ゲット、クリティカルトリガー、ヴァンガードにクリティカル、リアガードにパワー5000、セカンドチェック、ゲットクリティカルトリガー、」
「オーバーキルはやめてくれませんかね!?」
私のダメージゾーンはすでに5枚。ダブルクリティカルで3つ、ヒールトリガーが3枚連続で来る確率はほぼない。しかも2枚はダメージゾーンにあるからどうあがいても勝てないのだった。
「ほんと、お礼参りって私がするのがふつうでしょーが……」
「もう1戦やるか?」
「やらない。」
カードを手早く片づけていると、店員が近づいてきた。
「いやぁ。いいファイトでしたね。お二人は仲がいいんですね。ご友人ですか?」
そういう店員に対して、櫂は特に返事もない。私はそっと溜息をついて答える。
「友人じゃないですよ。クラスメイトです。……それに」
「それに?」
「こいつは親友の皮をかぶった悪魔ですよ。トリガー率おかしすぎだし」
「手加減なんてしないぞ」
「したら物理で殴るからね」
「仲良しですねぇ」
「にゃあん」
2016/01/05