再び会えるかな

はじまり(FRLG)

2人の幼なじみは今日このマサラタウンを出る。
博士の頼みと、なりより2人とも旅に出たがっていたから。
本当は私も行きたかったけど、怒られてしまった。
長期の旅、しかも1人で行かないといけないから
病気を持つ私1人で行かせるわけにはいかない、って。
だけどその代わり、2人が戻ってきたら沢山話を聞くんだ。
「気をつけてね。」
「お前も体壊すなよ?」
壊したら洒落にならないからな、と笑いながら茶髪の彼が言った。
「大丈夫ですよー。2人も体調に気をつけてよ?
いつもつっぱしっちゃうんだもん。」
「大丈夫だって、なぁ?」
「うん、グリーンはともかく僕は平気。」
「おいこら。」
帽子を被った彼の表情はあまり見えないけど、いつも通りのようだ。
無表情ってとらえられる場合があるけど、本当は見えないだけで
怒ったり、笑ったりしてる。
今は、笑ってる。
「2人の目標は?達成するまで帰って来ちゃ駄目だから。」
「もちろん、チャンピオンだな。
ジムバッジを集めて、ポケモンリーグのチャンピオンになるんだ。」
「グリーンが帰ってくるのいつになるんだろう・・・」
チャンピオンなんて、とっても遠い。
1年やそこらでなれそうにはないと思うけど。
「近いうちになってやるさ。レッドは?」
「んー。僕は・・・」
決まっていなかったのか、少しの間本気で考え込む彼。
「グリーンに負けない。」
「はっ、レッドが俺様に勝てるわけないんだよ!」
「でも、さっきのバトルで負けたよね。」
さっきのバトル?
私の知らないところでいつの間にか戦ってる・・・ずるい。
「うっせ!」
あ、そうだ。
グリーンに負けないのならレッドが目指すのは1つしかないよね。
「じゃあ、レッドの目標もチャンピオンだね。」
「え?」
「だって、グリーンはチャンピオン目指すんでしょ?
負けないなら、グリーンのチャンピオンより上いかなくちゃ」
幼なじみがチャンピオン、か。
なんかうれしいな、まだ決まった訳じゃないのに。
「そうか。うん。僕もチャンピオン目指そう。」
「おい・・・」
本当に、2人と一緒にいると楽しい。
でも、明日からこうすることはできないんだよね。
「あーもう、俺は先にいく!」
しびれを切らして、グリーンが駆けだした。
「ブルー!またな!」
「いってらっしゃーい」
大きめに手を振って、走っていくグリーンを見送った。
レッドは、すれ違っていったグリーンを見送ると、こっちを向いて
「行ってきます。」
「いってらっしゃい。」
地面に置いてあったバックを片手に、グリーンを追うようにマサラを後にした。
残っているのは私だけ。
「いっちゃった。」
2人の姿が見えなくなって、本当にいってしまったんだなと確認する。
「2人はいったようじゃな」
「博士・・・、はい、行きました。2人ともチャンピオンになるんです。」
「ほう・・・チャンピオンか、大きく出たのぉ。」
後ろにいる博士のほうは振り向かない。
2人が向かったほうをじっとみる。
帰ってくるときは、立派になっているかな。
「そうじゃ、ブルー。ちょっとこっちにこんか?」
「なんですか?」
博士の方を振り向き、あるく博士の後をついて行く。
「ほれ」
研究所について博士にわたされたのは、2人が腰につけていたモンスターボールと同じ。
「ボール、ですか?」
「中には2人に渡したのとは違うポケモンが入っておる。
3つのうち2つを持って行ってしまって余っているのはこの子だけだが・・・
貰ってくれるかの?」
「で、でも・・・私、戦わせることできないですし・・・」
レッドとグリーンはポケモンバトルをするために、一緒に冒険するためにポケモンを貰った。
なのに、どちらもしない私が貰っても良いのだろうか。
「ブルーに持っていてもらいたいんじゃ。
別にポケモンは戦うだけではない。
他の地方では、コンテストと呼ばれるバトルをしないで技の見せ合いをして競うものもある。
バトルだけが全てではないんじゃよ。
ボールから出して一緒に遊んだりすることだけでも、十分なんじゃ。」
「博士・・・」
あぁ、そっか。
博士は戦いじゃなくて研究するためにポケモンと一緒にいる。
2人は戦うために。
だけど、私もそうする理由はどこにもないんだ。
「・・・わかりました。ありがたくいただきます。」
「あだ名などは好きにつけてあげると良い。」
「はいっ」
ポン、とモンスターボールからポケモンをだす。
水色の、くりくりっとした可愛いポケモンだった。
きょろきょろして辺りを見渡しているポケモンを抱える。
あだ名はなににしようかな。
あ、なんだか楽しくなってきた。
2人がいないのは寂しいけど
新しい友達も出来た、だから大丈夫。
「よろしくね、ゼニガメ」

2011.02.02.

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