近しい人への恋心で5つのお題

2.離れて気づく淋しさ

気が付いたら、あいつの姿がどこにもなかった。
剣の訓練していて、戻ってきたら即眠ってしまっていた
いつもなら、起きたら“おはよう”って言ってくれるのに
目が覚めたらいなくて
探した、ずっと探し続けた
でも、見つける事は出来なくて。
だから、剣を振るった
彼女に会うために、彼女と会ったときに強くなったんだって誇れるように
だけど
もし、もう彼女と会うことが出来なかったら?
会えても、一緒にいられなかったら?
そう思うと、剣を握っていた手が震えた
彼女は、今どこにいるんだろう
何を、しているんだろう
気づいたら、足は勝手にある方向へ向かっていた。
“また晴れてる時に・・・今度はもっと早めにこよう”
“・・・そうだね”
約束したのに、これなかった。
あの日以来、色々と忙しくなってきてて
俺も剣の修行とか色々やり始めてしまっていたから
それに、空はあの日のような晴天になることがなくて
ずっと暗くて厚い雲に覆われてしまっていたから。
やっと今日、晴れたのに
彼女はもう何日か前に姿を消してしまった
「・・・ぁ」
目の前の風景を見て、俺は唖然とした
あのときは、きれいな花畑だったのに
いつの間にか誰かに踏み荒らされた後があって
草も、花も、全てつぶされていて
蝶などの昆虫も姿を消していた。
どうしてこうなったんだろう
“・・・すごいね”
控えめな声だったけれども、確かにそう言っていた彼女
驚きが混じっていた声だったけれど、一瞬うれしそうにしたのを俺は覚えてる
だから、また来ようって言ったのに
「なんでっ・・・なんでこんな・・・」
彼女ももう俺の側にいてくれない
そして、最後に一緒に見たあの景色ももう見ることは出来ない
「メルティアっ・・・」
なんで、俺を置いていったんだよ。
どうして何も言わずにいなくなったんだよ
いつも、一緒だったのに
これからも一緒だって・・・そうだろ?
なのに・・・
いなくなってから、側にいないことの辛さに気づいた
でも、それはもう遅くて
どう考えても手遅れだった。

2010.10.10

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