D2

町外れにひっそりとあった桜の木
1本だけあったその木に、グループの中心といえるやつはくらいついた
「見て!桜の木だよ!」
「お、綺麗に咲いてんじゃねえか」
「本当・・・綺麗」
「へぇ、桜かぁ」
カイルがそう言って近づけば、残りの者もそれについていく
そのせいでよく目的を見失っているのも事実だ
「ふーん。あれが桜なんだ。」
「初めてか」
「まぁね。」
隣でぶつぶつと言っている自称天才科学者、ハロルドは
自分の時代にはなかったものに興味をしめしていた
「あ、そう言えば」
「どしたの?ハロルド」
ふと、思い出したようにハロルドは言った
「綺麗に咲いている桜の木の根元に死体が埋まってるって、本当なのかしらね」
「え・・・」
「あ・・・」
その言葉に皆、返すことが出来ずに当たりは少し静かになる
「あぁ、それは聞いたことがあるな」
「それって・・・本当なのですかな?ジューダスさん・・・」
おびえたようにロニが問う
そういえばこいつはお化けとかが苦手だと言っていたな
だからといってアンデット系のモンスターには驚きもしないとこはさすがというべきか
モンスターとして区別しているのならば問題はないだろうが
「ただの迷信だろう。」
「これ、掘ったら証明できるかしら」
さっと近づいてちょんちょんと桜の根元をつっつくハロルド
「駄目だよ!桜がかわいそう!」
桜をかばうようにカイルはハロルドと桜の間に立った
だが、それにまったく気にしないで相変わらずハロルドは根本をつつく
「でも、それって・・・」
「うわぁ!」
「カイル!」
カイルの悲鳴とともに、木の根元の土が盛り上がった
そして、少しすると土が飛び、カイルは驚いて尻餅をつく
「あら、なーんだ。モンスターじゃない」
「暢気に言ってる場合かい?」
噂をすればなんとやら、か
待ちかまえていたかのように、根元から出てきたアンデット系モンスター
「ま・・・まじかよ・・・」
「腰が引けてるぞ。」
「う・・・うるせぇ!」
「迷信じゃ、なかったの?」
ハロルドが笑いながらそう言ってきた
「それは、僕が実際見たことがなかったからだ」
「じゃ・・・じゃぁ・・・」
「今回はモンスターだ。別にそんなのではないだろう」
「で・・・ですよね・・・」
完全に腰が抜けて戦闘態勢には入れなくなったロニは放っておく
どうせナナリーあたりがつくだろう。
「さっさとかたづけるぞ!」
剣を抜き、すでに戦う準備万端なカイルたちにそう呼びかける
その声が合図となり、一斉にモンスターめがけて攻撃を開始した

2010.08.03.

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