ガンダムSEED/DESTINY/FREEDOM

アニメ・スぺエディ・リマスターごっちゃごちゃ。DESTINYはTHEEDGE基準
アスラン成り代わり。特殊設定・構成につき注意。名前変換はありません。
成り代わり要素はちょっと濃くなりました。
ストーリー上必要だったのでネームドのオリキャラがいます。

「プラントに戻るよ」
ヤキン・ドゥーエ攻防戦のあと、プラントも各国も戦後処理に追われていて、のちに軍法会議にかけられるまであの間、アスラン・ザラという存在は宙ぶらりんになった。同じく三隻同盟に所属していたディアッカよりも重罪をやらかしていることもあり、身柄をどこに置いておくかでもザフト内では騒ぎになった。結果として、処分が決まるまではアークエンジェルに身を寄せることになる。そのアークエンジェルはオーブに秘匿されることとなり、クルーたちはそれぞれ戦前の立ち位置か、または偽名で戦艦を降りた。カガリには、そんなクルーたちと同じように、別名でのオーブ国籍を渡された。身分証を受け取りながらも、俺はカガリにそう言った。
「アスラン」
「カガリと一緒に居たい。けれど、アスランとしてやったことには責任を取りたいんだ」
「だが、それは!」
 アスラン・ザラが政治的に、そして軍事的に行ったことがどういうことなのか。政治に携わったこともあるカガリにはわかるのだろう。俺の言葉が、何を招くかくらいには。
「結果がそれだったら、俺は受け入れるよ」
「だめだ! プラントに行ったらっ」
「大丈夫」
「大丈夫なわけ」
 まるで身を乗り出すようにして言い返すカガリの手を引き寄せる。カガリの続けようとした言葉を遮って胸元に抱いた。
「諦めないから。受け入れても、必ずカガリのところに帰ってくるから」
 だから今は、プラントに戻ることを、ザフトに戻ることを許してほしい。

 それが途方もなく無謀で、果てしないことはわかっている。けれど、オーブに、今の状態で君に寄りかかってしまったら、きっともう対等の立場ではいられない。



「アスハ代表、メイリン・ホークです。お連れしました」
 メイリンとブラウン三尉の案内にて官邸へと赴く。とある部屋の前の護衛に礼をしつつ、メイリンは扉をノックした。入ってくれ、という声を聞いてから扉が開かれる。
 入ってすぐに、カガリと目が合った。がたん、と椅子が音を立てる。立ち上がったカガリが机の前に出てきて、目が少し泳いだのちにんん、と咳ばらいをした。
「……ザラ二佐には内密で報告を聞きたい。悪いが席を外してくれ」
 カガリがそう言えば、メイリンとブラウン三尉が敬礼をして部屋から出ていく。カガリは1人で部屋にいたようで、2人が出ていったことで俺とカガリだけの状況が出来上がった。
「その、アスラン」
 目の前で視線を泳がすカガリを見て、思わず腕を引っ張った。カガリが意図しない声を上げたところで、胸元に抱きとめた。
「ただいま」
「ただいま、って……お前なぁ! 連絡もなく消えて戻ってきて最初の言葉がそれか!?」
 俺の胸元から顔を上げたカガリと視線が合う。眉間にしわを寄せながら怒っている彼女を見て、思わず笑った。
「ごめん」
「まったく……せめて言伝くらいおいてくれれば」
「うん。ごめん」
「無事でよかった」
 カガリの両腕が背中に回った。ぐっと体が密着する。こちらもカガリの背中へと腕を動かす。
「カガリ」
 腕に力を入れながら彼女の名前を呼ぶ。返答しようとして彼女の顔が上を向こうとして、それを遮るように頭を抱いた。
「あすら」
「俺はきっと、カガリの知っているアスランじゃない。記憶も全部戻らないし、カガリとどこで出会ったかもわからない。カガリの知っているアスランに、もう戻れないかもしれない」
 震える身体を無理やり押し付ける。自然と彼女を抱く腕に力がこもった。
「でも……それでも、カガリの側にいたい……」

 アスランの身体が震えているのを、カガリは全身で受け止めていた。声も震え、どうしたらいいのかと悩む彼は、少し前にカガリが見ていた姿でもあった。戦禍において、ひたすら悩んでいた彼を思い出す。身長も体格もすでにカガリを超えて、少年から青年へとなったアスランを、カガリは常に側で見ていたわけではない。ほとんど一緒にいるキラとラクスとは違って、カガリはオーブ代表首長として、そしてアスランはザフト軍、またはオーブ軍として軍部に所属しているが故にお互いの立場があった。アスランと一緒にオーブにいることですら、ここ1年未満での出来事だ。紆余曲折あったと思う。けれど、そのほとんどをアスランは覚えていない。悲しいと思わないわけではない。しかしそれはカガリを命がけでアスランが守った結果であり、記憶を失ったことを、カガリは責めることはできない。だから、もしアスランがプラントに戻りたいと思っていたらそれを受け入れるつもりでもあった。恋人とともいえない、この関係に終止符を打つことも、受け入れるつもりだった。
 しかし、アスランは帰ってきた。そして今、目の前にいる。一度はあきらめようとした関係を、諦めさせてはくれなかった。
「馬鹿だな、お前」
 アスランの腕から無理やり逃れてアスランを見上げた。今にも泣きそうな顔を見て、頭を撫でた。
「アスランは、アスランだ。何も変わっていない。今、私の目の前にいるのはアスラン・ザラだよ。おかえり」

2024/3/11

成主がプラントに行って戻ってくるだけ、というお話になりましたが、一応自由に続く予定です。
熱が冷めず気力があれば隙間だけではない種編と運命編もかけたらいいかな、とは思っていますが未定です。
原作と違うのは複数名の生存キャラと、空白の2年をどこで過ごしたか、になります。
作品上、出てきてない生存キャラもいますし、関係性が違うキャラもいます。
種運命については、なんかいろいろ抱えているものが少なからずあるので、このままワイワイとして自由まで書けるかわからなくなったため、
ひとまずの切りの良いところで閉めます。


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