3人寄ればなんとやら

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「・・・うそだろ」

拝啓、父上、母上、兄上。なんで俺はこんなことになっているのでしょうか。
目覚ましの音とともに眠りから覚め、目覚ましをたたくようにして消して起きた。数分間、ベットの上でぼうっとしてから、辺りを見回す。黒いランドセルが目に入り、どこか懐かしさを覚える。今の小学生は水色やらピンクやらのランドセル背負ってたりするからなぁ。俺たちの時は赤と黒だけだったというのに。と、そこまで思考を巡らせて冒頭へと戻る。

「高校から小学校ってどういうことだよ・・・」

仕方なくベットから出て立ち上がる。覚えのある目線よりもずいぶん・・・ではないが多少低い。どういうことだ。

「祥吾ー!」

リビングから兄貴の声が聞こえ、大声で返事をする。今悩んでも仕方がない。パジャマから私服へと着替えると、そのまま部屋を出た。ランドセルとかは家出る直前でもいい。今日が平日とは限らないが。
ランドセルに視線が行っていた俺は気がつかなかった。机の上に置かれた"帝光中学校"の合格通知を。そして写真立てに飾られている3人組の写真を。




どうやら今日は休日らしい。というのもテレビの朝の番組からの情報だが。母は仕事に出ていてすでにいなく、兄と2人での朝食だ。父はいない。食べ終わってから食器を流しに置くと、兄が思い出したように言葉を発した。

「あれ、祥吾。今日出かけるんじゃなかったか?」
「は?」
「カレンダーに○ついてるだろうが。だから起こしたんだろ」

視線を兄から壁に掛かっているカレンダーに向ける。そこには今日の日付に青で○が書いてあった。なぜ赤じゃないんだろうか。だが、出かけるなんて記憶は正直ない。そりゃ俺の前日の記憶は高校時代だから当たり前なんだが。なんかあったかなと考えていると玄関のチャイムが鳴った。兄を見ると早く行ってこいと手をふられた。仕方なく玄関の鍵を開け扉を開く。
そこには、黒髪で低身長(本当は平均あるはず)の少年が一人。少年は眼をぱちくりしたあと、にやりと口元をゆがめた。それがどこか嫌な感じがしたのは気のせいだと思いたい。

「しょーちゃん!あっそびーまっしょ!」

小学生らしい大声を上げられ、眉を寄せる。こんなそばで出さなくても聞こえる。少年は笑ったまま後ろに手招きをしてから言葉を続けた。

「やっぱりしょーちゃんはコーンロウよりもこっちのほうがいいねぇ」
「・・・は?」

少年は再びにやりと口元をゆがめた。

「あれ、俺のことわかんない?まぁたしかに前回とか接点無かったけどさぁ・・・。試合ですれ違ったりはしてるじゃん!」

わかんない?俺秀徳のPGなんだけどさ。 そう続けていった少年に対して少し考えた後、そういえばシンタローと一緒にいたやつに酷く似ている。
少年の背後から1人、茶髪の少年がゆっくりと歩いてくる。そのタイミングを見計らったのかそうではないのか、少年はまた口を開く。

「俺、高尾和成。秀徳のPG!んで、今来たのは桜井良、桐皇のSGだよ。福田総合、SFの灰崎祥吾君?」

2013.9.30

*この小説は打ち切り作品です。



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