ガンダムSEED/DESTINY/FREEDOM

アニメ・スぺエディ・リマスターごっちゃごちゃ。DESTINYはTHEEDGE基準
アスラン成り代わり。特殊設定・構成につき注意。名前変換はありません。
正直成り代わり設定は香る程度であまり重要じゃない

原作死亡キャラ生存+もう一人の成り代わり主との話。大筋の流れには関係ありません。


 はっと思考の渦から戻ってみれば、すでに日は真上へと昇っていて、朝にアスハ私邸を出てから時間がだいぶたっていたことに気が付く。問題ないとはおもうだろうが、どうせ行き場所もない、そろそろ戻ろうと路肩にとめた車の下へと向かおうとして、ふと車の近くに1人の女性がいるのに気が付いた。赤い髪の、長髪の女性はこちらに気が付いてあ! と声を上げた。
「やっと見つけた。ここ最近連絡ないし、大怪我したって聞いて心配したんだから」
 見覚えは、ある。けれど、たぶんアスラン・ザラにとっては、ない。朧気すぎて覚えていないけれど。薄いグレーの瞳がこちらをじっと見つめてきて、そっと視線をそらした。
「どうしたの?」
 さすがに詳細は覚えていなくても、誰がどうなったくらいはあの物語のことは覚えている。彼女は、確かキラの友人で、彼女で
「え、しんでた、よね?」
 最終回近くで死んでいたフレイ・アルスターだったはずだ。ぽかんとする俺を他所に、彼女は俺の言葉を聞いて笑っている。
「もう! 前の時と同じ反応しないでよ! そりゃあ、原作でフレイは死んでるけど……私は生きてるから!」
 彼女はそうハツラツと言った。そうしてから、彼女はぐっとこちらの顔を覗き込むように近づいた。
「大丈夫? 何かあった? アスハ代表護って大怪我したんでしょ? 無理してない?」
 彼女は声のトーンを落としてそう言ってから、俺がかつてのアスランと違うことに気が付いたのだろう、一瞬もしかして、なんて口にしてから、俺を車の助手席へとおし込んだ。
「あの噂、本当だったってこと?」
 まるで内緒話をするかのように、彼女は運転席に座ってそういった。噂? と首を傾げれば、それすらもわかってないって本当なのか、と唖然とされた。
「アスラン・ザラの療養が難儀してるって話。私のことが分かってない時点で、記憶飛んでるでしょ」
 彼女はそのまま止める暇もなく車を動かしだした。とっさに、GPSついてる、とだけ言えば変なところにはいかないから、と言われる。傍聴はされてないでしょ? と聞かれてたぶん、とうなずいた。

 彼女は車を運転したままことの詳細を話始めた。
「私とあんたが出会ったのは、C.E.72年のはじめ。第二次ヤキン・ドゥーエ攻防戦の後、私の乗った脱出ポットはアークエンジェルに助けられたの。一応、そこで会ってるけど、お互いそんな場合じゃなかったしアスランは気が付いてなかったわ。そのあと私はアークエンジェル下りてオーブにいる。アスランはすぐにプラントに戻って、軍法会議にかけられた。まあ、他にかけられた面々とやったことは雲泥の差だったこともあって、結構長引いたらしいわね。最終的に温情でザフトレッドのまま復隊になったみたい。反逆扱いで追い出したのはパトリック・ザラだから、彼の行いを否定するための要素に組み込まれた感じね。でも、当時の臨時議長は厄介払いしたかったみたいでしばらくオーブにいたのよ。そこで私と会ったの。それから連絡取り合って、今に至るって感じ」
 ここが一番原作と解離しているところね~なんて、彼女は笑った。彼女の言葉をかみ砕きながら、アスラン・ザラって最初からザフトにいなかったか? と首をかしげる。その反応を、彼女はわかっていたのか笑い飛ばしていた。
「あんた、私に言ったのよ。10年以上前にみたアニメの内容なんて覚えてないって。だから物語通りに行くわけないし、自分が選んだ結果が物語通りならともかく、わざと物語通りに進んで苦しみたくないって。自分が選んだ結果ならともかくって」
 私と正反対だったから、びっくりしたし、そうだなって思ったの。と彼女はつぶやいた。
「私は、原作通りに物事を進めたわ。それでキラが傷つくことも、私が死ぬことも解っててその道を選んだわ。でも結局、まったく同じにはならなかった。私が生きているのがその証拠。でも、私が生きていることでなにかが変わるのが怖くて、結局第2次連合・プラント大戦が終わるまで一切キラたちには会わないようにしてた。」
 全部壊したのはあんただけど、と彼女はそこまで言ってから口を閉じた。エンジンの音だけが、耳元に届いた。車は浜辺を沿うように整備された道路を走り続けている。アスハ私邸の反対方向だ。
「だから、結構あんたは自由にやってたのよ。だからあんまり、原作のこと考えなくていいわ。結構変わってるし、それでぼろが出るよりはいいんじゃない? 私から変に教えられて挙動不審になっても困るだろうし」
 彼女は道路が浜辺から離れようとしているところで車を止めた。周囲にはすれ違う車すらないことから、あまり人は来ないのだろう。彼女は車から降りて、鍵をそのままこちらへと投げ飛ばした。
「記憶、どこまであるの?」
 目が覚めてから今に至るまで、何度か聞かれた言葉を彼女に聞かれて俺はうーん、とうなった。そうしてから、やっと口にする
「日本にいた自分、かな。でも、自分がアスラン・ザラって言われたら納得する自分もいる。あとは、カガリが大切だってことくらい」
「……ま、前半は口にしない方がいいかもだけど、それで十分じゃない?」




 数日後、連絡先を交換してすらいないのにパソコンに一通の連絡が来てフレイは驚きの声を上げた。いつの間に、非通知で、しかも探知されないルートをくぐってメールができるようになったのかと。フレイですら、オーブに戻ってきてから死ぬほど勉強した結果できるようになったそれを、さらっとできることに少し嫉妬しながらもメールを開いた。
【彼女にバレないようにプラントに行く方法を教えてほしい】
 目の前の機械で調べろ! と言い返しそうになったところで、ひとつ深呼吸をする。なにかわかって、なにかわからないのかすら理解していないのだ。本能で生きていると言ってもいい彼が、裏工作などできるものか。記憶をすべて取り戻したら、きっともうちょっと取り繕えたと悶えるであろうくらい想像がつく。それくらい、記憶を失う前の彼は世間渡りというのがうまかった。それはもう、原作のアスランよりも。フレイは彼の立場と状況を思い出しながら、最短ルートで、しかも確実にできることを考える。彼は原作と違ってオーブに亡命はしていない。最初から最後まで、三隻同盟にいたとき以外はザフト軍所属だ。なのでアスラン名義で動けば一瞬でバレる。多分速攻でザフト軍にバレる。となれば、フレイが思いつく方法は1つだけだ。
【アレックス名義だったら行ける。ただオーブじゃない国経由なら。】
 そのメールに対して、彼から返信はこない。それくらい、フレイと彼の関係はさっぱりしている。故郷を同じくしているというだけで、C.E.の世界に対する想いも、考えも2人は一致しない。彼はすでに変わって終わってしまった物語の延長線を進んでいるが、彼女にはもう1つの原作がある。

 C.E.75年までにはある程度戻っててよ!? あと半年しかないんだから!

2024/2/9


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